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一般演題(教育演題へ変更)AIによるCOVID19肺炎検出解析ソフトウェアの使用経験

更新日:2020年10月10日

AIによるCOVID19肺炎検出解析ソフトウェアの使用経験

 大原綜合病院・画像診断センター 森谷浩史

① はじめに:新興感染症パンデミックとAI

•2019年末に中国武漢で初めて認められた新型コロナウイルス感染(COVID19)は、2020年の初めから世界規模のパンデミックな蔓延を呈している。

•2020年1月、中国からこの感染症の医学情報が医学雑誌やインターネットに報告され、世界規模で情報共有なされた。その後、感染拡大とともに各国から報告がなされ、多くの医学情報が臨床現場からアクセス可能になっている。

•AIを用いたCOVID19の解析が迅速に行われ、2020年3月に中国で遠隔診断可能な画像解析AIが構築され、韓国からスタンドアロンの画像解析AIが開発され、それぞれ利用可能となった。

•膨大なビッグデータを利用できる環境において、AIはパンデミックの蔓延速度より迅速に目的の解析やフレームワークの作製を行うことができる。

•本検討に用いたMEDIP COVID19は胸部CTを使用してCOVID-19を検出・評価するための完全自動フレームワークとして開発された。

文献

・Lin Li Artificial Intelligence Distinguishes COVID-19 from Community Acquired Pneumonia on Chest CT. Radiology, March,2020.

•Seung-Jin Yoo Automatic CT Quantification of Coronavirus Disease 2019 pneumonia: An international collaborative development, validation, and clinical implication, Preprint, Jul 24 2020.

② MEDIP COVID19の概要

③ 方法と対象

•MEDIP COVID19 v1.2.0.0 (MEDICAL IP:released 2020/04/27) Environment Detail : OS-Microsoft Windows 7(64bit) or higher, CPU-Intel i5 or higher, RAM-8GB or higher, GPU-NVIDIA GeForce 1000series or higher(with 2GB GPU memory or higher), Network environment with Internet access

•ASUS ゲーミングノートPC FX505DT-R5G1650A : OS:Windows 10 Home 64bit, CPU:AMD Ryzen 5 3550H, RAM:16GB, SSD:512GB, GPU: NVIDIA GeForce GTX 1650 (8GB), 無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac / Bluetooth 5.0

•CT: 肺野条件(5mm厚・0.5mm厚) 縦隔条件(5mm厚・0.5mm厚)

•0.5mm厚肺野条件(学習データ:1mm厚肺野条件)を基準にして他条件での計測結果を比較した

•対象: 9症例 18検査

COVID-19確定例  6例12検査  画像上COVID-19を疑った例 3例6検査

④ 結果 0.5mm厚肺野条件を基準にした体積比

⑤ 考察

•肺体積は条件によらずほぼ一致した。病変部位も含めて良好に肺領域を抽出できた。

・学習データには1mm厚肺野条件を用いているが、肺野条件5mm厚・縦隔条件5mm厚・縦隔条件0.5mm厚とも良好に領域抽出されていた。スライス厚に依存せずに適切に肺体積を計測できた。 これは、もともとのdeep neural network (DeepCatch)の能力によるものと思われる。

•病巣(肺炎)検出は視覚的には良好に抽出されたが、病巣体積は1.5倍から2倍(最大で数倍)の差を生じた。

•病巣体積の変動は学習データの数と質、画像条件(特にスライス厚)の違いによるものと思われる。

•病変検出に用いるためには体積変動は許容できると思われる。

•経時比較を行うためには学習データと同じ画像条件がよい。

•専門医不在の施設や不在時間帯でのスクリーニングに使える。

⑥ まとめ

•AIによるCOVID19肺炎検出解析ソフトウェアを試用し、良好に作動することを確認した。

•短期間で目的に合ったソフトウェアを開発し、無償公開したMEDICAL IP社の理念と行動に敬意を表する。

•膨大なビッグデータを解析するための迅速性がAIの優位性である。

•迅速に学習データを収集し、開発した解析機能を公開できたのは世界規模のデジタルネットワーク環境が整備されていた結果である。

•本事例のように、感染蔓延を防ぐという迅速性を要求される場合、単一機能に絞り込んだ迅速なAI開発が可能であるという実例の一端を体験できた。

•医療におけるAIの役割を考える一事例となった。



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